名大生の稀覯本日記

月に30~70冊ほど本を読むド暇名大生による、気まぐれな書評ブログです。

広辞苑との遊び方を知っていますか。 ~三番勝負 その一 無人島に持っていきたい一冊~

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今回のテーマは

無人島にもし一冊本を持っていくとしたら。

あなたなら、何を持っていきますか?

 

 

こんにちは。

 

今日は、先日紹介した、三番勝負のその一です。

三番勝負って何?という方は、こちらをどうぞ。

bookpotato.hatenablog.com

 

 

さて、今回は、

 

無人島にもし本を一冊持っていくとしたら

 

これで記事を書きます。

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1.設定の確認

 

今回、選考基準などを明らかにするために、まずは設定を確認しておきます。

 

まず、食べ物だとか飲み物、それから野生動物などの命の危険などは全く考慮しないことにします。考え出すときりがないので。

そもそも、こんな荒唐無稽の設定にリアリティなど要求してはいけないのです。

 

それから、持っていく本。これは当然ながら一冊となります。

本については、特にそれ以外の制約はないものとします。

 

 

そうするとですね、僕の中では圧倒的に一位の本があります。

この企画を聞いた段階で、僕の頭の中にはアレが浮かんできたのでした…

 

 

 

 

 

2.優勝、広辞苑

 

それでは、持っていく本の発表です。

 

 

はい、サムネイル画像でご察しのとおりです。

 

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広辞苑 第六版』新村出編 岩波書店

 

 

やっぱりこいつでしょう。

 

 

3.なぜ『広辞苑』か

 

理由としては当然、圧倒的なボリュームもあります。

それから、コトバを使わない環境だからこそ、コトバと向き合うという、逆説的な状況に奥ゆかしさを感じる、というのもあります。

それから、いろんな用途で使えそうですよね。枕にもなるし、ちょっといらないページ破って火にくべたり。最悪野生動物に襲われたら、鈍器としても使えそう。冗談です。

 

 

でも、一番の要因は、シンプルに言えば、

広辞苑のおもしろさ

となるでしょうか。

 

もっと俗っぽい言い方をすれば、広辞苑暇つぶし適性がとても高いんです。

 

 

 

3.広辞苑のおもしろさとは何か

 

ただ量だけを求めるなら、他にも分厚い本なんていくらでもあります。

 

でも、僕が数ある本の中で『広辞苑』を評価する理由は、その「おもしろさ」にあります。

 

広辞苑は、引くものだと思っていませんか?否、隠れた楽しみ方がたくさんあるのです。

 

僕は、小学生の夏休み、親に「一日2時間は勉強しろ‼」と言いつけられました。なんかつまらないドリルも買ってきました。

しかし、やりたくない。そこで考えたウルトラCが、辞書を読むことだったのです。

辞書を見ていれば、親も何も言ってこない。そこで、ひそひそ部屋で2時間辞書を読むことにしたのです。

 

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そこで、僕は幼いながらに気付いてしまいました。

 

「あれっ、辞書ってめっちゃおもろい。」

 

 

今回の記事では、そんな、広辞苑の楽しみ方を少し紹介してみます。

 

 

Ⓐ補助記号を駆使する

 

辞書を引くと出てくる「▽」や「:」などの記号。あれの意味をご存知ですか?

ちょっと手元に三省堂書店の「広辞林」しかないので、これで答えますが、例えば

 

< →当用漢字以外の漢字

 

となっています。当用漢字というのは、とりあえずここでは「習ったことあるような漢字」くらいに思っていてください。そうすると、

 

ひんしゅく【〈顰蹙〉】 顔をしかめること。 (以下略)

  

などと使われるわけです。

これを使えば、

 

やがて【〈軈て】ほどなく。まもなく。(以下略)

 

なんて項目を見つけて、「やがてってこんなふうに書くのね…」なーんて発見があります。

 

それから、

 

ぼくせん【〈卜占】うらない。

 

なんて項を見つければ、「おぉ!こんな漢字があったのか!」と驚くことでしょう。

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他にも、熟字訓の記号などに注目してみるといいかもしれません。これは、いわゆる当て字ってやつです。広辞林では「:」を用いているようなので、

 

ところてん【:心太】食品の名。(以下略)

 

のようになります。これならまだわかりますね。

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では、これはどうでしょう。

 

ぶらんこ【:鞦韆】吊り下げた二本の綱の間に横木を渡し、その上に載って前後に揺り動かして遊ぶ遊戯具。ゆさわり。ふらここ。

 

「オイ!ぶらんこってこんな難しいのかよ!」ってなりますよね。

 

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しでむし【:埋葬虫】鞘翅目シデムシ科のこん虫。(以下略)

 

なんて、「どんな虫だろう?」と想像が膨らみませんか?

 

ページを開いて、熟字訓マークを探すだけでも、当て字の多彩な世界に触れることが出来ます。

 

(全ての引用は、『広辞林 第五版』による。)

 

 

 

Ⓑ意味の説明の前の⦅ ⦆

 

これは、その言葉の語源を説明したり、成り立ちを補足するサインです。

論より証拠。見てみましょうか。

(ちょっと、辞書が今手元になく、残っているメモを転記するので、この章のみ出典が明記できません。雰囲気をお楽しみください。分かり次第追記します。)

 

てき【的】⦅ticの音訳から⦆名詞に添えて、その性質を帯びる、その状態であることを表す。

 

いきなり衝撃的ではないですか。「科学的」の的は、なんとromanticのticの音だけとってきて、漢字をあてた、と言っているわけです。(諸説あります。)

 

 

あたりまえ【当たり前】⦅「当然」の当て字「当前」から⦆そうあるべきこと。当然。

 

ぼくらが日常的に使う「当たり前」に至っては、「当然」と同じ出自だと言っています。確かに、「当たり」+「前」では全然今の意味には結びつかないもんなぁ…

 

 

 

カタカナ語だって、注意が必要です。

 

メンター⦅ギリシャ神話で、オデュッセウストロイア戦争に出陣するとき、自分の子供テレマコスを託したすぐれた指導者の名前メントール(Mentor)から⦆すぐれた指導者。

 

えーっ。就活の時やたら耳にした単語「メンター」。なんとなく、「’’メント’’をする人」だから「メンター」だと思ってました。まさかのギリシャ神話。すごく由緒正しい言葉じゃないですか。

 

 

このように、説明の前に⦅ ⦆がある単語は注目です。おもろいことが書いてある可能性が高いですよ。

 

 

 

 

©ノーマークの言葉の意外な発見

 

当たり前のコトバに、実は意外な秘密が隠されていることがあります。

 

 

これは、わかりやすく記号に書いてあるわけではありません。

難易度が高い分、見つけたときの感動はひとしおです。上級者向けの遊びです。

 

 

おいてけぼり【置いてけ堀】他の物を見捨てて去ること。

 

えっ。おいてけぼりの「ぼり」って、「堀」なの。

衝撃のあまり、二度見してしまいました。

 

「堀」は、当用漢字。だから、何の記号も施されていません。

パラパラ見ていて、見つけるのは至難の業。だからこそ、気持ちいいのです。

 

 

 

いたい【遺体】①⦅「父母ののこした身体」の意から⦆自分の身体。②人のなきがら。遺骸。

 

ムッ。おかしい。二個も意味があるなんて。しかも、全然意味が違う。

もはや誰もこの意味で使う人はいないでしょうが、元々はそんな意味だったのかな。思索を巡らせるだけで、ちょっとわくわくする語ですね。これももちろん記号なんてつかない。強いて言うなら⦅ ⦆か。

 

 

Ⓓ付録

 

最後は、付録です。

 

辞書には、大体付録がついています。

今回の広辞苑で言うと、

 

「漢字・難読語一覧」「アルファベット略語」などの別冊付録も充実

広辞苑 第六版(普通版) - 岩波書店より

 

こんな ステキな付録がついています。

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これをパラパラ見ているだけでも楽しいです。難読語一覧なんて、小さいころずっと見てました。その結果漢字オタクになりました。

 

 

 

 

4.無人島に持っていきたい一冊を持って、実際離島に行っちゃいます。

 

最後に、余談ですが、以前こちら↓の記事で紹介した、

古本市、行って参りました。 - 名大生の稀覯本日記

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これ、参加することにしました。面白そうだから。

 

多分、このブログがUPされている今頃、僕は無人島に持っていきたい一冊を持って、離島に向かっているはずです。

 

え?持っていく本?これですこれです。

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橋爪大三郎、ずっと読みたかったのに読めなかったんですよね~。超楽しみです。

 

え?広辞苑?そんなの、持っていくわけないじゃないですか。

 

 

 

追伸:この記事のテーマは、友達の樂くんとバトっています。

よかったら、彼のブログも見てみてください。

 

raku-book.hatenablog.com

 

それから、楽の記事に便乗してこのテーマで記事を書いてくださった方もいました。

 

www.zen-nezumi.com

 

最後にもう一度。あなたは無人島にどんな本を持って行きますか。

 

 

広辞苑 第六版 (普通版)

広辞苑 第六版 (普通版)