名大生の稀覯本日記

月に30~70冊ほど本を読むド暇名大生による、気まぐれな書評ブログです。

文学とはなにか 

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文学を読んだことのない大学生、文学を語る。

 

 

こんにちは。

 

長らく書評らしい書評を書いていなかったので、今回は久しぶりに書評を書こうと思います。

 

今回は、文学少年の対極に位置する僕が、不遜にも文学を語ります。

 

 

 

 

1.文学、読んでみた。

 

この前、文学を読む機会がありました。といっても、課題図書のような本なので、自発的に読んだわけではありません。

 

折に触れて申し上げていますが、僕は本を読むといっても、新書のような、事実を取り扱うジャンルの本しか本しか基本的に読みません。ですから、文学なんてほとんど読んだことがありません。

 

さぁ、お手並み拝見といきますか!と、読み始めたところ、

 

 

 

 

 

 

全然わからん。

 

 

 

 

 

 

 

困った僕が手に取ったのが、こちらの本でした。

 

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「文学の読み方」さやわか著 星海社新書

 

 

タイトルから見るに、僕のニーズにばっちり応えてくれていますね。こんな本を探していました!

「ブンガク」を読むための指南書、みたいな本かなぁ!これを読んだら、ブンガク読めるようになるかなぁ!そんな淡い期待をもって、この本を読み始めました。

 

 

 

しかし、僕の期待は、いい意味で裏切られました。

 

 

 

 

2.「文学の読み方」は、どんな本か

 

この本を、文学のマニュアル書だと思って期待された方、すみません。どうもそういう本ではなさそうです。

 

じゃあ、どんな本なのかというと、ずばり

 

 

文学って、何なの?

 

 

 

これですね。これを一生懸命考えている本だと思います。

 

それは、目次を見ていただいても明らかだと思います。

 

 

目次

序章  そもそも何が文学なのか?

第一章 1979年の村上春樹

第二章 文学は人の心を描けない

第三章 メディアが作家と文学を作る

第四章 文学のジャンル化

第五章 純文学など存在しない

第六章 文学史が作られていく

第七章 錯覚は露見する

第八章 文学とは錯覚にすぎない

終章 ある錯覚の未来について

 

「文学の読み方」 目次より引用

 

「錯覚」だの「人の心を描けない」だの、ずいぶんと身もふたもない言葉が見出しを 踊っていますが、この本全体の流れはシンプル。そして、その流れは、日本の文学のスタートから現代までの歴史です。

 

では、この本の内容を少し見ていきましょうか。

 

 

 

3.文学のスタートは?

 

ちまたでは、「文学ってムズカシイ!」というのは、もはや共通認識になっています。

では、聞きます。

 

 

「文学」と言われて、どんなイメージを持ちますか?

または、こう聞きましょうか。「文学」の定義は何ですか?

 

 

 

こう聞くと、多くの人は答えに窮することでしょう。

 

つまり、文学の難しさというのの正体は、なんてことはありません。要するに、

 

みんな、「文学とは何なのか」を知らないだけ なんです。僕もです。

 

 

では、文学って、いつから始まったんでしょうか?

誰が始めたんでしょうか?

どんなものを「文学」と定義したのでしょうか?

 

 

 

実は、文学を日本で普及させたのは、明治期の坪内逍遥(つぼうちしょうよう)という人でした。

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この人が書いた「小説神髄」という本の中に、「文学の定義」と言えそうな記述があるのです。

 

これをカンタンに訳すと

 

文学の定義とは、

①人の心について描いてある

②ありのままの現実を描いてある

 

の二点である、となっています。

 

 

「文学の読み方」は、この2つの定義を、本の最初から最後まで使い続けます。つまり、文学とは、この2点を同時に達成しようとした、挑戦だというわけです。

 

 

 

4.昔の人はみんな苦戦してた。そして現代は?

 

しかし、これって結構難しいことですよね。

 

例えば、田山花袋(かたい)という作家がいました。

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彼が書いた、「蒲団(ふとん)」という作品。このあらすじは、

 

 

オッサンが、自宅に住まわせていた若い女がいなくなっちゃったのが悲しくて

彼女のパジャマやふとんの匂いをクンカクンカ嗅ぐ

 

 

という話です。冷静に読んでみてください。現代にもしこんな本が出ようものなら

 

「草生えたwwwww」

「きめぇwwww変態かよwwww」

 

などと2chに絶対書かれることでしょう。

 

 

でも、男性なら多少は思い当たるふしはないことはないですよね?

小学校の時に、好きな女の子のたて笛をなめる、みたいな話聞いたことありませんか?(僕はしてないですよ)

あれの、明治版ってことです。

 

 

 

さてそこで、さっきの2つの定義を思い出してください。

 

文学の定義とは、

①人の心について描いてある

②ありのままの現実を描いてある

 

 

でしたね。この文脈で、さっきのオッサンクンカクンカ小説を捉えなおしてみてください。

そうすると、この「蒲団」というエロ小説は、わざわざ露骨に恥ずかしいような内容を書くことで、

 

ゲッスい感情 (=①人の心)      について書きつつ

リアルな状況 (=②ありのままの現実) も書こうとした、と分析できます。

 

 

 

このように、文学史というのは、

①と②をなんとか同時に達成しようと、文章力のある人たちがあの手この手で苦心していた歴史なんですね。

 

 

僕の方はこの辺にしておきますが、「文学の読み方」ではこの後、

森鷗外芥川龍之介

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そしてそこから芥川賞の誕生に伴い、石原慎太郎(元東京都知事のイメージがあると思いますが、この人は元々作家でした!「太陽の季節」という作品で芥川賞をとっています)

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(↑若い…全然今と顔違う…)

 

それから村上龍カンブリア宮殿に出てる人です。「限りなく透明に近いブルー」で芥川賞受賞)

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に触れます。というのも石原慎太郎村上龍も、「こいつらの作品は文学なのか?」と物議を醸していたからなんです。

 

 

そして、最後には、

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又吉先生の「火花」についても。あれは「文学」なんでしょうか。その答えは、本書に譲るとします。

 

 

5.まとめ

 

というわけで、「文学の読み方」を学ぶはずが、激アツ文学ワールドに迷い込んでしまいました。

でも、そのおかげで、課題で出た現代の文学を読む際にも、なんとなくどう読めばいいか分かった気がします。

 

みなさんも、文学ワールドに飛び込んでみてはいかがですか?

特に、文学に興味があるけど手を出せていない方、この本は文学ワールドのナビとしてはピッタリです。

 

 

 

文学の読み方 (星海社新書)

文学の読み方 (星海社新書)